万能つゆ、しょうゆ
「しょうゆづくりって商売はいま、かなり厳しいです。設備は高い、原料も高い、人はいない。いいことなんてないです(笑)」と語るのは馬場宗一郎さん。しかし、どこか余裕も感じるその話しぶりには自信がみなぎります。
「本来、その土地に住み着いた菌を活用する醸造って世界は“地元密着”が基本なんです。大手メーカーは安価な原料を仕入れ、大規模工場で大量生産し、遠方のスーパーで量販する。でもうちは違う。あくまで新潟のために、新潟の方々へお届けするんです」
馬場さんは「醸造は、人間が偉そうに操作できる世界じゃないんです」と言います。蔵ごとでさえ個性ある味わいを醸す繊細な世界にあって、原料となる大豆の仕入れから自ら行い、先代からの製法を守り続ける一番の理由は、“嘘がつけない”ということ。
「自分の都合で勝手にしょうゆを作ろうと思っても、絶対無理なんです。季節、天気、自然のいろんな条件が折り重なって一滴一滴ができる。自然と共生しないと作れないんですよ」
「だからこそ、生協とお取引させてもらってるのは、私たちにとっても大きな自信なんです」と馬場さん。
頻繁に組合員が工場を訪れ、醸造の世界を学び、試食を通じてマルタスギヨならではの味わいを体感しています。疑問があれば矢継ぎ早に質問が飛び交う。味に満足いかなければ、ときに苦情も寄せられる。
「そのつながりって“安心のお墨付き”だと思っていて。使ってくださる方々の顔が見えることは何よりの安心です。同時に、私たちの顔も知ってもらいながら、新潟の醸造を盛り上げていきますよ」